読む観る聴く書く

読んだり観たり聴いたりしたことを淡々と記録するブログ。基本的に小並感。

バーナード嬢曰く。: 3 / 施川 ユウキ

神林さんの長文レスが相変わらず良い。

タタール人の砂漠。前からタイトルはよく聞いていたけどそう言う話なんだって思った。イメージと違う。 読んでいない本について堂々と語る方法はついに出たかといった感じ。

童童の夏 / 夏笳

童童が素直で良い。こういう子供を見ると元気になる(そして自分は歳を取ったなあと感じる…)。

機械で置き換えることで老人の体力的問題を解決し、老老介護を実現するという案は悪くないような気はした。 発話することもできない状態になってしまったおじいちゃんを人形にミラーするという発想もなかなか。人形に命を吹き込むという表現にこういうパターンもあるのかと。

こういう形での技術の生かされ方はありなんじゃないのかなあと。本アンソロジーで初めて良い気持ちになれたような気がする。

またこの作品は、あちこちの公園に毎朝姿をみせるたくさんのおじいちゃん、おばあちゃんたちにも捧げたい。彼らは太極拳をやり、剣を振り、歌曲を歌い、踊り、鳥を鳴かせ、絵を描き、書を嗜み、アコーディオンを弾く。死が迫るのを感じながら生活するのも、恐れるにはあたらないと教えてくれる。

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (Japanese Edition) (Kindle Locations 1907-1910). Kindle Edition.

百鬼夜行街 / 夏笳

折りたたみ北京 より

夏笳は自分の作風を「ハード」でも「ソフト」でもない「ポリッジ(おかゆ)SF」と呼んでるらしいが、なんでおかゆなのかが謎。おかゆは結構ソフトじゃない?

とか感じながら読み始めた本作はタイトルから漂うおどろおどろしい雰囲気もあり、SFっぽい設定もあり、ファンタジーのような変身?もあり、これをおかゆと表現するのは謎の納得感がある。

僕は結局人間だったのだろうか。

偽物が本物のふりをしていると、本物が偽物くさくなります。
折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (Japanese Edition) (Kindle Location 1436). Kindle Edition.

沙嘴の花 / 陳楸帆

折りたたみ北京 より

深圳が舞台。いろいろな場所で聞く限り面白そうな場所というイメージがある。iPhoneの発送元によくなってる。 フェンスで囲われた経済特区の中でも「下層の暮らし」と表現されている場所に住む「僕」は過去「フェンスの外」出身であり…

サイバーパンク感ある世界観とそこの登場人物が面白い(定番を知らないけれどなんとなく定番な感じもするキャラクター)。 フェンスの外の時代の回想(のようなもの)から現在の事件に接続されるのだけれど、その2つの出来事を比較すると結局そんな人は変わらないよね。みたいなことを感じた。

麗江の魚 / 陳楸帆

折りたたみ北京 より

不思議を纏った女性との出会いで始まり、どうなるんだこれはと思っていたら時間感覚圧縮(もしくは伸長)というSFなテーマに突っ込んで行くという展開。設定としては若干ファンタジー味を感じるような甘さ?はある(がそれはそれでよかった)

自分が大きなものの一部であるという意味では鼠年に近いものを感じたり。 編者は外部からのイメージで中国SFを語ると。。のようなことを書いていたがどうしてもそういうイメージが先行する。。